県営公園「小幡緑地」(名古屋市守山区)のテニスコートが、同一人物や同一団体に独占的に利用されていることが、県の調査で分かった。県のスポーツ施設は、インターネットによる抽選で機械的に決まるため、本来はあり得ない事態。県は独占を防ぐため、抽選方法を見直す。

 小幡緑地には計十二面のコートがある。県公園緑地課などによると、土日、祝日を中心に、特定のテニスサークル代表者の名で、複数面を借りている実態があった。例えば、昨年九月十九日の土曜日は、この代表者が半数の六面を、午前九時から午後五時まで使用したことになっている。

 県のネット上の利用予約システム「ネットあいち」は、会員登録した中学生以上の個人や団体が申し込みでき、多数の場合は抽選で使用者が決まる。小幡緑地テニスコートの抽選倍率は昨年九月の土日、休日の平均で千四百六十六倍と極めて高く、通常考えれば、独占は起こり得ない。

 同じ個人や団体が仲間を総動員して、大量に申し込んでいるとみられる。公園緑地課によると、抽選申込者の六割が、いずれも一カ月当たり百回以上申し込んでいた。

 ネットあいちの仕組みでは、キャンセルが出た場合は再抽選せず、ネット上で先着順となる。特定の団体は、この仕組みを悪用していたとみられ、いったんキャンセルした後、同じ代表者の名で予約していた可能性が高い。

 テニスコートの利用料は一こま(一面二時間)当たり六百二十円。一日(八時間)丸々使うとすると二千四百八十円だが、同じ人が通しで利用すると千八百五十円となる。この団体は、同一人物の名前で使うことで割安に利用していた疑いがある。

 十七日の県議会建設委員会で、この問題を追及された公園緑地課の担当者は「特定の団体、個人に利用が偏ることなく、より多くの県民が利用できるようにしていく」と答弁。四月から予約システムを改修して一カ月当たりの申し込み上限を三十回に制限し、利用料金の徴収方法も見直す検討を進める。

 県のスポーツ施設の利用をめぐっては、昨年の県議会十二月定例会でも、県営公園内の野球場を予約するため、団体などがメンバー総動員で申し込んで高倍率になり、直前や無断のキャンセルが相次ぐ問題が取り上げられた。

  中日新聞より転載